日本歯科医学会について/ご挨拶
学会長ご挨拶 2・3月号

「かぶせ海苔の恵方巻と令和4年版産業ビジョンの表紙の関係」
節分に豆まきの声をお聞きになりましたか?TVのニュースでは例年のごとく、というよりも2-3年ぶりに開催された節分会の様子が、いろいろな意味を込めた春の到来を告げるものとして紹介されました。裃をつけた福男たちが盛大に撒く豆を一つでも手中に収めて福を呼び込もうとする人々の画は、観るだけでもいかにも長い冬が明けそうな予感をもたらしてくれました。一般家庭ではどうでしょう。「鬼は外」の声を聴くことはほとんどありません。豆のかわりに恵方巻をほおばって福を呼ぶのでしょう。かくいうわが家でも恵方巻を買い、玄関から豆を盛大に撒いて楽しみました。鬼の面をつけて寒い外に立つのはつらいものではありましたが。
ところでその恵方巻、昨夜のわが家の恵方巻には驚きました。海苔でぐるりと巻いてない、海苔をかぶせているのです。のり巻きではなくてかぶせ海苔。これでは手にもって南南東に向かって頬張れないし、「福」が漏れてしまいそうです。買ってきた家人もびっくりしていましたが、すぐに「福」があふれ出るのではと、どこまでもポジティブな発言。恵方巻がのり巻でなくとも、豆が個包装になろうとも、いや豆を撒かなくとも春は来ると信じる、多様性は人生を楽しくします。
さてこのたび、「令和4年(2022年)版 新歯科医療機器・歯科医療技術産業ビジョン」が完成しました。2007年来、5年ごとに日本歯科医師会と日本歯科医学会と日本歯科商工協会が協働して発行しているビジョンは、歯科界イノベーションの宝庫です。この5年の間に、日本歯科医師会は「2040年を見据えた歯科ビジョン」を2020年10月に発信しました。日本歯科医学会は「2040年への歯科イノベーションロードマップ」を2021年に示し、日本歯科商工協会も新たな医療機器の開発、販売を積極的に展開しています。これらの内容が「令和4年版」のビジョンの核となっています。このビジョンをしっかり読めば、歯科臨床として今後要望の高い分野や望まれる医療体制が見えてきます。研究や開発のテーマも見つかります。さまざまな情報が掲載されているビジョンは、今後の方向性を見つけるためのガイドブックなのです。また一般社会に対しても、歯科界が現在取り組んでいるビジョンを広く知らせることができます。学会のウェブサイトでどなたでも閲覧できますので、多くの方々に、令和4年版の「新歯科医療機器・歯科医療技術産業ビジョン」を活用していただきたいものです。
実をいうと、ビジョンの紙媒体の表紙の色合いは、私が提案していたのとは少し違っています。日本歯科医学会HPに電子媒体で掲載されている表紙のほうが、提案した色合いです。もちろんどちらも中身は同一で大いに充実しています。前述したように、巻いていない、想定外の恵方巻の味だって確かなものでした。紙媒体の表紙は私にとっては想定外の色合いですが、電子媒体と両方を見た方々のさまざまな受け取り方が面白いかもしれません。二つの色合いのどこがどう違うのか、違うことで何が変わってくるのか、逆転の発想を呼び起こすネタになりそうです。今年もポジティブ思考で進めてまいります。
令和 5年 2月 6日
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