日本歯科医学会について/ご挨拶
学会長ご挨拶 令和3年11月号

会頭からの学術大会終了のご報告とお礼
第24回日本歯科医学会学術大会は、多くの方々のご協力により2021年10月31日17時をもって無事に終了しました。開催に関わってくださいました関係者のみなさま、ならびに参加してくださったみなさまに厚くお礼を申し上げます。
しかし会頭としては、今回の学術大会が終わったとはいえません。準備委員会委員の任期は来年3月31日までです。大会のシンボルデザインに象徴されていましたように、学術大会の終わりは次の学術大会の始まりです。ここで発信したものは社会に対する約束事ですから、これを具現化していかなければ何にもならないのです。その成果は、次の学術大会で披露されたり、また、さらに継続的な事柄として将来の学術大会に次々とつなげていくものもあります。ともあれ、この歯科界の目標として示された持続可能な開発目標は、関わる人が変わっても続いていくものなのです。
現時点で大切なことは、新しい様式で開催された今大会を検証することです。日本歯科医師会、地区歯科医師会、学会加盟・登録の分科会からの情報を収集して、さまざまな形の検証をする必要があります。これまでのように主幹校に開催をお願いしていた大会とは異なり、日歯と学会が主体性をもって開催しましたので、より詳細な状況が分かります。この検証作業は、今後の学術大会のあり方を考える上で、とても重要な情報となります。今期、改めて立ち上げた「学会のあり方検討協議会」の諮問項目の最初に『日本歯科医学会学術大会開催のあり方に関する件』を挙げています。収集した情報をこの協議会にも提供し、それをもとに次回の開催様式を提案していただきます。
それはさておき、この「ご挨拶」では、大会に参加された方々へのお礼の気持ちをお伝えしたいと思います。今回の参加登録状況、特設サイトにログインした視聴(参加)者数、それと一般登録者の状況などについて、私個人としての検証をご報告させていただきます。なお、2021年11月14日時点で私の手元にあるデータによるものですのですから、学会から発行されます「事後記録集」が最終の情報になりますことをご了承ください。
まず、大会の参加登録者数についてご報告します。参加登録者は2021年6月8日から毎週、学術大会特設サイト上で報告しました。ライブ配信の大会最後日、9月25日時点の参加登録者数は17,187名でした。翌26日からはオンデマンド配信になりましたが、ここからの新規の参加登録も受け付けました。この期間の新規登録者は2,357名、全体の12%ありました。結局、最終の学術大会参加登録者数は19,544名でした。実は、オンデマンド配信終了の5日前、10月26日における参加登録者数は18,801名でした。これでは、当初の予定参加者3万名には遠く及びません。これを何とか2万名台に乗せたいという想いから、学会に関わる方々に最後の協力依頼をしました。それが奏功したのか、一般登録者754名を含め最終参加登録者は20,298名となりました。2万名超えはとてもうれしく思いました。もちろん、本心は数ではありません。今回の素晴らしいプログラムを一人でも多くの方にお届けしたいということです。開催した側の熱意と努力、未来にかける希望を、歯科界に限らず国内、いや世界中の方に届けたい、それがオンライン開催によって可能であるということを、今回は実感いたしました。
次に、実際に視聴された方々についてご報告します。なお、前述した全登録者のうち754名は一般参加者で、視聴できるプログラムは公開フォーラムと公開講座に限定されましたので、それについての話は別の機会にゆずり、今回は学術大会の視聴者についてのみのご報告です。9月23日から25日の3日間の実際の視聴者数(ログイン者数)は、10,171名でした。初日にアクセス不能状態が3時間程度起きたことについては、登録されたみなさまに多大なご迷惑をおかけし申し訳ないことでした。今後の大きな検証材料といたします。10月31日17時にオンデマンド配信が終了した時点では、全視聴者数が15,360名となりましたので、この期間に5,189名が視聴したことになります。大会参加登録者数に対する視聴者数の割合は79%で、過去の大会(総会)と大差はありません。アクセスした視聴者のうちライブ配信期間は66%、オンデマンド期間は34%でした。ライブ配信期間の3日間にログインした10,171名は、19,492回のプログラムにアクセスしていますから、一人当たり平均2つのプログラムを視聴していると推定されます。最終的な15,360名の参加者は105,743のプログラムにアクセスしており、平均7つのプログラムを視聴していると考えられます。もちろんどのデータも、プログラムへの複数回アクセスを考慮する必要があります。とはいえ、この視聴回数からみても、オンデマンド配信は視聴数の増加に明らかに貢献しています。それは、いつでもどこでも何度でも、自分の好きなように視聴できるからです。スライドや演者の表情なども、会場で見るよりはるかに鮮明に、身近に視聴できるので、内容の理解度も上がります。一度視聴して良いと思った人が、他の人も誘って再度視聴するなどもあったことでしょう。登録していない人にも見ていただけた可能性もあります。このあたりの情報は、今後に予定しているアンケート調査などで詳細に把握する必要があります。
今後は、学術大会準備委員会に、地区歯科医師会ならびに分科会から情報を提供していただき、整理・分析したうえで、改めてその結果を今後の大会運営に還元する予定です。この大会の開催にあたってお約束をいたしましたように、この調査結果が、学術大会に参加された各団体の方々にとりましても十分に有用な資料になることと存じます。
以上、この大会が歯科界だけではなく一般社会にもさまざまな形でお役に立つことを願いつつ、会頭としてお礼とご挨拶を申し上げます。
追記 一般参加者について
先ず、一般参加者が視聴できるプログラムは公開フォーラムと公開講座です。
今大会の一般参加登録者数、視聴回数は、学術大会参加者とは別の枠組みで集計していました。2021年8月19日から開始した登録者数は9月25日の最終日の集計では 615名で、会期3日間の2つの公開プログラムの視聴回数は 209回でした。また、10月31日の最終の参加登録者数が 754名であることからオンデマンド配信期間の新規登録者は 139名となります。オンデマンド配信期間の新規登録者 139名は高い確率で視聴されていると推察されます。この方々を含めて、3日間の会期中に視聴された方々と会期中に視聴されなかった方々がオンデマンド配信中に視聴された合計視聴回数が 514回となっています。したがって総視聴回数は 723回になります。
ちなみに学術大会参加者のこれらのプログラムの視聴回数はそれぞれ 2,595回、3,938回と高い数字を示しています。公開講演は最も視聴回数が多いプログラムでした。一般参加者は複数回の視聴を含めて2つのプログラムの合計は 723回でした。視聴回数からみれば学術大会参加者のプログラムになっていますが、両者にとってそれなりに意義のある企画であったと認識しています。しかし、日本歯科医学会学術大会の催し物として、多くの国民に参加いただくにはもうひと工夫が必要でした。次回の宿題です。
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