日本歯科医学会について/ご挨拶
学会長ご挨拶 令和2年9・10月号

関東甲信越地方は13年ぶりに遅い8月の梅雨明けとなりました。梅雨前線が停滞し続けたことで、日本各地、広範囲に河川の氾濫などの豪雨被害が発生し、甚大な被害をもたらしたのはいまだ記憶に新しいところです。さまざまな形で被害を受けられた方々には心からお見舞い申し上げます。
さて、梅雨も明けて夏の厳しい日差しにさらされはじめた8月7日、日本歯科医学会にオンライン推進ワーキンググループ(WG)(座長:藤井一維 日本歯科大学学長)を立ち上げました。「本年予定されていた分科会の学術大会は、現地開催からオンライン、誌上開催への変更、もしくは延期、中止を余儀なくされた。本WGにより今後の学術大会開催形式の方向性、指針等を示していただき、来年9月に予定している第24回日本歯科医学会学術大会においてその指針を活用し、今後の日本歯科医学会学術大会等のスタンダードとしたい」という学会長としての設立趣旨でお願いしたものです。WGのスタートにあたっては、今年の各分科会の開催状況を収集しました。そこからは各分科会のご苦労がよく伝わってきます。貴重な情報です。WGでの成果は、今後の開催に利用できる方法を模索していただけるようお示ししたいと考えています。
この第24回日本歯科医学会学術大会は令和3年9月23日から25日に神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で3万人の参加者をお迎えしようと準備をしていました。しかし今、新型コロナウイルス感染症が広がる中、東京オリンピック・パラリンピックの1年延期をはじめとして、全国各地の祭りや催し物が中止を余儀なくされてきています。大会の開催まで1年以上ある段階では、その時の状況に応じてオンラインも導入するという方針でしたが、いまや「その時に応じて」でできる規模ではないと判断し、オンラインを積極的に導入する方針を決定しました。大会の開催様式を変更したうえで従来の様式をはるかに凌ぐ成果を上げるためには、考えうる限りの工夫が必要です。まさに学術大会のテーマ「逆転の発想」を、あらゆる場面で試していく、これはいってみればチャンスなのです。意表を突くアイデア、わくわくするようなどんでん返し、いっそ窮鼠猫を噛む、困ったときの神頼み、それは考えたくありませんが、過程を楽しむ気力は強く持って臨みたいです。新型コロナウイルスの時代を私たちの英知と笑顔で乗り切りましょう。
奇しくも、この原稿をしたためている9月1日は防災の日です。平穏な日常が脅かされるときにいかに備え、いかに対処するかを、あらためてわがこととして考えたいと思います。とりあえず家人は、飲料水と簡易トイレを物置に備蓄したもようです。私用のBOXに何を入れるのか、これにつきましては高度な機密情報に当たりますので記述を差し引かえたいと思います。みなさんには、歯ブラシ、歯磨き剤、うがい薬を入れ忘れないようにとお伝えしておきます。いよいよ台風シーズンがやってきます。十分な準備をしてお過ごしください。
令和 2年 9月 2日
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