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日本歯科医学会について/ご挨拶

学会長ご挨拶 平成30年10・11月号

住友 雅人:写真画像

「風速40m超との共存」


今年は台風がいくつも発生して、日本各地に多くの被害をもたらしました。台風24号では、私が住む市の隣にある東京都八王子市の観測点で瞬間最大風速45.6mを記録したそうです。これを聞いてすぐに、1958年の映画「風速40米」を思い出しました。そのころ私は中学生でしたが、故石原裕次郎さん主演で、主題歌も裕次郎さんが歌っていたその歌詞をよく覚えています。「何んだいありゃ何、風速40米? アハハ… 風が吹く吹く… 」という歌いだしでした。この時代の東京では、風速40mはほとんどあり得ない数値だったのでしょうね。高校卒業まで住んでいた四国はその当時から台風銀座で、毎年のように川が氾濫したものでしたが、ある時、橋の上で息を吸うこともできないくらいの強風に会い、死に物狂いで這いずりながら橋を渡り切った怖い経験をしたこともあります。今回の台風は八王子市で45.6mと記録されていますが、わが家は丘の上にあることから、おそらくもっと強い風が吹いていたと思います。暴風が吹き荒れる夜中過ぎに恐る恐る玄関ドアを開けると、横なぐりの風に流された雨がまるで激流のようでした。夜が明けてから都立公園まで犬の散歩に出ると、ひと抱えもあるような大木が真っ二つに折れていました。その鋭い裂け目を見ると、あの暴風の中、メイキメキと音を立てて倒れていく様が目に見えるような生々しい白さが印象的でした。この住宅地には目立った被害が出ませんでしたが、あちらこちらで大きな被害を受けた方々には心からお見舞い申し上げます。
 昔から二百十日は台風も多く農作物に多大な被害をもたらす「災害とき」として、最大限の注意を払うべきとされてきました。しかしいまや農業はおろか、人の生存そのものが脅かされるようなレベルの台風がいくつも襲来しています。全地球レベルの気候変動には小さな抗いなど何の意味もないという向きもあるでしょう。その一因に人間がかかわっているとの指摘もあるでしょう。それはそれとして、今現在の私たちの生活を守る手立てにノーベル賞並みの画期的なアイデアが出ないものでしょうか。数十年の年輪をあらわにして裂けた木肌を見ると、その痛々しさにさまざまな思いが胸をよぎります。自然も私たちも安心して生きていける環境を維持するための努力を続けて共存することができるのは、これまた人間だけなのだと思うのです。
 話は大きく変わりますが、歯科の情報周知のすそ野を広げる企画の一つに参加する機会を得ました。日本補綴歯科学会中国・四国支部学術大会の市民フォーラムです。
 私は、地元の衛生関係の行政役人、歯学部長、それに地元のアイドル2名とともにパネラーとして参加し、今回の大会長が司会を務めました。これまでいくつもの市民フォーラムを主催した経験からいうと、参加者には大きく分けて二つの傾向があるようです。一つは時間に余裕のある定年退職組を中心とした高齢者で、幾度となく参加している経験者です。もう一つは市民フォーラムといっても、一般人参加が少なく医療関係者が中心になってしまうものです。どちらにしても大抵のケースは参加者の幅が限定されがちですが、今回は違いました。若い世代の参加者がかなり目立っていたのです。なぜかというと、パネラーとして招いた地元のアイドルを目当てに、多くの追っかけが参加したからです。おかげでいつものフォーラムとは違う雰囲気で盛り上がり、その楽しいギャップに私たちも大いに楽しみました。さらに開催者からの後日談では、当日の内容がSNSなどで拡散され、普段は歯科への興味に縁がない若い世代にもつながることができたとのことでした。歯科界は少し固定観念があるようにみえますので、このような柔らかい企画もよいと思います。まずはほとんどつながりがない者同士がお互いを認知すること、興味を抱くこと、近寄ってみることから始めるのも大切なことです。地球環境と人間との共存からだいぶ話は小さくなりますが、これはこれで非常に重要なお話です。  

2018年 10月 4日


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