日本歯科医学会について/ご挨拶
学会長ご挨拶 平成30年6・7月号

「Singin' in the Rain」
ミュージカル『雨に唄えば』(原題:Singin' in the Rain)を見て雨を楽しむ気持ちになるのもいいですが、この頃は、まるで舞台天井でバケツをひっくり返してしまったような雨が降ります。水無月とは「水の月」、自然がそこで勢いよく育まれる生命力で満たされる月です。梅雨時期は嫌だという方も多いでしょうが、いのちの営みには重要な自然現象です。
さて、日本歯科医学会には43の学会(分科会)が加盟しています。6月は多くの学会の総会と学術大会が各地で開催されます。私は可能な限り、理事懇談会や懇親会に足を運んで、学会事業をきめ細かく、理事や会員にお伝えすることにしています。もちろん、学会のHPで最新の学会事業について頻繁に情報提供していますが、アクセスしていただかなければそれは何の意味もありません。理事懇談会のお話でさえ、理事会止まりか、理事関係者などの限定されたところにしか伝わっていないこともあるでしょう。最近は学術大会プログラムの中に学会長講演の時間を設けていただいているところもあり、この場に出席される方にはこちらの言葉を直接届けることができます。とにかく複数の手段で学会の最新の動きを会員の方々に知っていただきたいと日々努力しております。しかしいずれの手段も、情報をキャッチしていただかないことには功を奏さないという弱点があり、この点についてはいろいろな方のお知恵を拝借しながら、より簡便により正確により役立つ情報をより速く会員全体にお届けしたいと願っています。とはいえ、なんといっても、直接出かけて行ってのFACE to FACEを大切にしています。効率が悪いようでも、専門家集団ならではあるいはご当地ならではの多岐にわたる会話を楽しみながらお互いの情報を交換することの重要性はどんな時代にも変わらないように思うのです。この機会を楽しんでいます。お招きいただけることはありがたいです。梅雨の中をステップ踏みながら出向いてまいります。
さて、現在、学会が力を入れているのは歯科界のイノベーションマップの作成です。2019年は日本歯科医学会創設70周年を迎えます。人の70年は古希といってめでたいのですが、組織としては70年は決して古来まれなものではありません。
そこで、日本歯科医学会の記念事業としてふさわしいものとして、「2040年への歯科イノベーションロードマップ」の作成事業を企画いたしました。それは、今わが国の社会問題として大きく取り上げられている「2040年問題」に向けて、歯科はどのように展開していくかのロードマップを作成し、社会に示すものです。それぞれの分科会から、これからの達成目標とする専門分野の項目を提示していただきます※。高齢者人口がピークを迎えて多くの高齢者の医療・介護に関する厳しい環境が予測されている2040年問題に、歯科が率先してその予測を覆す目標を掲げ、具体策を練り実行する事業を推進したい!そういうロードマップです。私が最も力を入れるところは健康寿命の延伸ですが、たくさんの知恵が結集することを期待しています。漫画、ビデオ、プロジェクションマッピングなど、表現方法も自由に、歯科界から明るい未来を描き出しましょう。
※歯科イノベーションロードマップ作成に関する依頼の概要
1.テーマ | 「逆転の発想 2040年への道標」 |
2.年次計画 (7年毎の達成目標) |
①2019年~2025年 ②2026年~2032年 ③2033年~2039年 |
3.提出項目数 | 各ステージごとに3~5項目 1つの項目で、第1ステージから第3ステージへと段階的に展開させるような達成項目も歓迎いたします。 |
4.項目説明 | 各項目につき、達成の予測根拠、手段などを400字程度 加えて、項目内容を視覚的に表現するポンチ絵も歓迎いたします。 (形式自由) |
2018年 6月 5日
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