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日本歯科医学会について/ご挨拶

学会長ご挨拶 2・3月号

住友 雅人:写真画像

歯科界に求める人材とは
―「鬼は外」と「鬼は内」―

 「鬼は外」あるいは「鬼は内」の掛け声とともに節分が過ぎ、春になりました。歯科界にも多くの鬼才が去来して活躍していただくことを期待しております。
 正月に招かれたいくつかの新年会の中で、印象に残るお話がありました。それは、歯科における企業をはじめとした臨産学のまとまりのよさについて語る行政の来賓のご挨拶でした。ちょうどその場で私も、1月3日付の日本経済新聞の連載特集「断絶を超えて」の記事を紹介したあとだったからかもしれません。この特集の第2回のタイトルは『「協争」の時代が来た』でした。これまでずっと私は臨学産官プラス民の連携を喧伝してきましたが、難しいとされている産と産の連携のあり方としての「協争」とは、良い字をあてたものだと思ったのです。しかし、歯科界ではすでに「在宅訪問歯科診療専用ポータブル器材パッケージDENTAPACKOKORO(デンタパックココロ)™」でこれを実現しています。ニーズに応えるためにそれぞれの企業が有するシーズを提供し、協働してすばらしい製品を生み出しました。このシステムの継続的な進展と並行して、官を後ろ盾とし、企業、学会、日歯との連携により、国内はもちろんのこととりわけ東南アジアの民への貢献を目指していこうとしています。これまで歯科界はややもすると、診療室という限定した世界で物事を考える傾向にあるといわれ、診療対象の口腔内の世界にとどまって、全身という観点からの視野をもっていないという非難を受けた時代がありました。しかし現在は、適切な口腔管理が全身的な疾病の予防や重症化を抑制するという根拠が示されて、歯科医療を巡る全身機能の維持・回復の重要性が大きく伝えられるようになりました。このようなときこそ、いわゆる「俯瞰」や「鳥瞰」ができる人材を歯科界から外へどんどん輩出しなければなりません。具体的には、基礎、臨床、そして専門領域に関わらず、従来の歯科の殻を破り、かつ他分野とも十分にコミュニケーションが取れる人材でしょうね。
 一方私は、もっともっと広い世界で活躍する鬼才を歯科界に招来したいと期待しています。たとえば「龍の歯医者」。みなさん聞いたことがあるでしょうか? “龍の国”の守護神である龍を虫歯菌から守る新米・歯医者の野ノ子を主人公としたアニメーションです。もちろん冒険ファンタジーではありますが、このような主人公の活躍に心躍る子供たちの関心が、健康に及ぼす歯科の役割とか、歯科で活躍することへの興味などにも向くのではないでしょうか。社会的機運を高めるということは、こんなところにも大きなきっかけがあるように思えてなりません。ちなみに、「龍の歯医者」はNHK BSプレミアムで2月18日、25日の夜8時から放送されます。興味のある方はぜひご覧ください。
 この号が出るときは大学受験の真っ最中です。「学」の分野の方々には、ぜひ「俯瞰」や「鳥瞰」ができる人材を歯学の道に招き入れ、大きく育てていただくことを切望しています。「臨」「産」「官」の分野の方々には、人材と技術を大いに活かすシステムを俯瞰していただきたい。私は一年中豆をまいて、あらゆるところから鬼才を探し集め、歯科界を盛り上げたいと思います。
 
  『臨学産官』という語句がいつから使われるようになったかは現時点ではわからない。この語句は歯科ではよく用いられているが、医科では『医工連携と産学連携』のように使われることが多い。(公財)医療機器センターの菊地 眞理事長がHPのご挨拶において、「(中略)医療機器センターは公益財団法人として、産業界(産)、大学・学会関係者(学)、行政(官)及び臨床の現場で日夜奮闘されている医療関係者(臨)を加えた産学官臨のパイプ役として(後略)」と『産学官臨』の語句について述べられている。ここではこの意味合いで『臨学産官』を使っている。日本歯科医学会では、日本歯科医師会、日本歯科商工協会との連携を狭義の『臨学産』として用いることもある。

2017年 2月 6日


 
 
 

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