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日本歯科医学会について/ご挨拶

学会長ご挨拶 8・9月号

住友 雅人:写真画像

リケジョの歯科

 
 このところ女性歯科医師の集まりに呼ばれることが続きました。改めて申し上げるまでもないことでしょうが、女性は大変元気です。男性中心の集まりよりも活発ですし熱心に聞いてくれるだけに話がいがあります。先日も、ある女性歯科臨床家の集いに招かれてお話をしました。そこで印象的であったのは、女性講師たちの論理的で勢いのあるプレゼンテーションが次々と続いたことです。実は私は「ささやかな経験から女性歯科臨床医へのおせっかい」と題して、かつて臨床現場にいたころに経験した、女性医局員たちの「駄目なポイント」を指摘し、それを克服するにはこのような対応がよいのではという内容のお話をするつもりで臨んでいました。ところが、先述のような熱気あふれる会場の雰囲気にあい、数日かけて用意したその話をすることができませんでした。すでに時代は私の古い「おせっかい」を必要としていない状況にあったのです。
 「女性が輝く日本」は、アベノミクス「成長戦略」3本目の矢の中で挙げられた重要課題の一つです。女性の社会進出が進みつつある証拠か、歯科大学・歯学部の入学者数のうち、女子が男子を追い越すところが出てきました。要因はさまざまでしょうが、近い将来は、多くのところで女子学生が増えることは間違いないと思われます。今を去ること四半世紀、1980年代に、私はフィンランドの大学に留学していました。そこでは医学部も、歯学部も7割が女子学生でした。北欧諸国は女性が社会進出しやすくなるような社会の仕組みができていて、多くの国民もそれを理解し受け入れていることを肌で感じておりました。今では、これが世界の流れにもなってきています。遅まきながらわが日本も、ようやくその流れに乗るべく政府の努力が始まろうとしています。
 さてそういいつつ今の歯科界を見渡してみると、残念ながら多くの違和感をもってしまいます。一例をあげると歯科大学、歯学部に女性の教授が非常に少ないことです。女性医局員は小児歯科、矯正歯科に進むことが多いのですね。とりわけ、補綴学の分野に進む女性はまだ少ないように思います。この「論理的匠の世界」に女性が向かなかったのでしょうか? 振り返ってみると、歯科医療にはいわゆる匠の技術が古くから求められてきました。もちろんこれは今後も必要とされる技術でしょう。しかし今、最新の技術を駆使した歯科医療が、あらたな展開を始めようとしています。ダビンチに代表されるような内視鏡技術、3D画像解析、そしてCAD/CAM応用の歯科技術など、従来の歯科医療の概念が根本から見直されるデジタル技術の進歩です。この分野は今後、理系女子の活躍の場になると私は考えています。
 これからは男性女性を問わず、また理系文系の得意分野を問わず、歯科医療の場で活躍することを目指す誰でもが、働きやすく、また大いに活躍できる仕組みが求められています。たとえ、子育てや介護などで医療現場を離れても、そこで培った経験を生かしてさらに輝けるように。十分な潜在能力を持ちながら今はまだ発揮できる環境にないと思われる彼女らのパワーを活かすことで、歯科界を活性化することができると期待して、私たちは歯科界や社会に向けた提言を行っていきます。
 来たれ!リケジョ、歯科界へ。

2016年 8月 8日


 
 
 

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