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日本歯科医学会について/ご挨拶

学会長ご挨拶 2・3月号

住友 雅人:写真画像

豆をまけば春が来ると信じて

 
 2月に入りました。みなさんは節分に豆をまかれましたか?豆に打たれて鬼が逃げる話はさておいて、聞くところによると、大豆は「木火土金水」のうちの「金」に、また春は「木」に属するそうです。昔の人は万物自然がこの五つの要素で成り立っていると考えたのですね。水は木を育てます。木は火を作りだし、火は燃えて土となり、土から金属が生まれ、金属の表面には水が生じます。逆に、木は土を起こし、土は水をせき止め、水は火を消し、火は金属を溶かし、金属は木を切るともいえるのです。さてそこで、「金」である大豆を家の外に出すと、そのあとに「木」である春が家にやって来る・・・と、節分の翌日はもう立春なのです。2月1日に国立天文台が2017年の暦を発表しました。天文計算の結果、春分の日は3月20日、秋分の日は9月23日です。節分にまく豆一つにも、悠久の時を刻む宇宙の動きとそれを静かに見守る人々の営みが籠められていることを思うと、本当に癒される気がします。日々の激務がなんだというのだ!という気にもなるわけです。
 そうはいっても実際は、朝夕の冷気と同じくピリピリした緊張感がある受験の季節です。歯科大学の受験者数はどうなっているのでしょう。歯科界の活性度を測るには受験者数を見ることだといわれています。歯科医師のワーキングプアが喧伝されていた頃は確かに少なくなっていましたが、最近は上昇傾向にあるといわれています。これを、歯科の新しいトレンドを発見して歯科医師を目指す若者が増えてきたからだという希望的捉え方をしてもいいのでしょうか。歯科医師の需給問題についてはこれまでにも幾度となく語られてきましたが、歯科界の中でも立場によって主張が違いますので、コンセンサスを得るのは難しいところです。国民の視点も無視できません。いわゆる「腕がよくてあたりのよい歯科医師」が多く存在することを求めるでしょう。この「多く」の意味の中には専門性も包含します。これについては、今年の国家試験の結果発表と、大学入学者が決まったあとに、機会を見て触れることにします。
 さて、平成28年の診療報酬改定において、医療技術評価・再評価提案書の評価結果が1月20日の中医協総会の場に提出され、一部を残して承認されました。分科会からの提案書を学会が取りまとめて厚生労働省に提出したのは、今回は62件でした。最終的には31件が承認される予定ですので収載率は50%になります。これまでの平均が15%程度でしたので、これは素晴らしい成果といえるのではないでしょうか。新しく収載された提案項目や評価が見直されたものは、近日中に保険点数(治療費)として示されます。今回、歯科は、保険収載されていたものの今日ほとんど行われていない3つの治療項目を取り下げるという提案をして承認されました。古い技術を取り下げ、新しい技術を入れる提案は、診療報酬の財源作りのためにも今後、積極的な検討が行われるものと思われます。高い収載率は歯科医療従事者の喜びとなるだけではなく、公的医療保険で受けられる治療範囲が時流に応じて広がる国民にとっても福音となり、社会的要求に応えることで次の改定に向けての機運も高まります。
 「木火土金水」のような互いに深く影響しあう関係のよりよいバランスを保つために、宇宙的視野を持って全体を俯瞰することこそが、われわれに必要なスタンスであり目標なのだと、小さな豆をはみながら思う春の初めでした。

2016年2月4日


 
 
 

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