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日本歯科医学会について/ご挨拶

学会長ご挨拶 8・9月号

住友 雅人:写真画像

用語「多職種」と「他職種」へのこだわり

 先般、学会に設置した「口腔ケア」に関する検討委員会から諮問に対して答申を受けました。これまで日本歯科医師会や日本歯科医学会では「口腔ケア」に関する見解を取りまとめていますが、明確な定義づけには至っていませんでした。この答申書では広義の意味の「口腔ケア」と認識されていた領域を「口腔健康管理」と位置づけ、狭義の「口腔ケア」との関係を明確にしています。「口腔健康管理」についての詳細は別の機会に紹介するとして、この答申書でも多用されている「多職種」と「他職種」について、国語辞典には目を向けないで、まずは私なりに考えてみました。
 「多職種」は高齢者医療への取り組みに重点がおかれたころから多く使われるようになってきた印象があり、医療連携の推進に伴って、「多職種」が使われる頻度が高くなっています。医療関係者の連携では「多職種」、医療関係者以外を含めるときは「他職種」だという意見もあるようです。
 「多職種」とは、数は何種類とは言えないが1つ、2つではなく、字のごとく、多くの職種を意味するとし、特に医療関係者にこだわらなくてよいとは思うのですが? 一方、「他職種」は1つ以上、複数の職種を包括して表現するときにも使われるようです。また、具体的な他(ほか)の1つの職種という表現も存在します。たとえば「歯科医師と他職種の銀行員」という言い方です。しかし、医療の現場では、「歯科医師と他職種の看護師」とは言わずに「歯科医師と看護師」がふつうです。「他職種」と付けずに医療職名を言います。
 この理屈からは、複数の医療関係者の職をまとめて表現する場合が「多職種」になるのかという自分なりの結論に達しました。
 先日、厚生労働省歯科保健課に省内での使用状況をお尋ねしてみました。以下がその回答です。

 厚生労働省における使用例は別添(※1)のとおりです。
 医療関係職種、介護職種に関わらず、「他の職種(複数を想定)と連携をとる」ことを指すときには、「多職種連携」としています。また、「他職種」というときには、「一緒に」、「連携して」、「チームで」ではなく、「比較して」、「自分以外の」という意味合いで使用されることが多く、「他職種との連携」というように、「他職種」と「連携」の間に「との」という言葉を入れることがよくみられます。「他職種連携」という単語ではあまりヒットしません。
 そこで結論は、チーム医療としての他の職種との連携についても、連携の意味合いを強く持たせるためには「多職種連携」という単語を用いるのがよいと思われます。


 この「多職種連携」については歯学Vol.101春季特集号2014で菊谷 武先生(※2)は、「医師、看護師、歯科衛生士、言語聴覚士、介護支援専門員、管理栄養士、介護職員、理学療法士、作業療法士」などの職種との連携を紹介しています。
 これから歯科として提案する「口腔健康管理」においては、積極的な医療職種との連携を求めていますし、多職種という中には医療関係者ではない職種も含まれることもあり得ますので状況に応じた使い方が肝要です。これらの用語には共通の認識が必要ですので、引き続き学会の用語委員会など関連の委員会に検討をお願いすることにします。
 
 ※1 多職種、他職種に関する多くの使用例をお示しいただいたがここには掲載しない
 ※2 口腔リハビリテーション多摩クリニック院長

2015年08月07日


 
 
 

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