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日本歯科医学会について/ご挨拶

学会長ご挨拶 8・9月号

住友 雅人:写真画像

「予防的効果のある病名と通称」

 暦の上では残暑ですが、今はまさに暑中。みなさんいかがお過ごしでしょうか。各地で起きている集中豪雨は、今後ますます多くなると予測されています。雨も必要ですが、何事も過ぎたるは何とか。このように極端な自然現象は、肥大化した文明の影響によって、ヒトが自分では制御できない自然を無意識のうちに動かしているのではないかと思ってしまいます。ヒトと自然は、いつまでも共存共栄していきたいですね。
 さてこの2か月間に、予告していましたワークショップを2つ開催しました。ひとつは歯科の新病名を創生するものでした。もうひとつは平成26年度の診療報酬改定に際して、新規の保険導入ならびにすでに保険収載されているものの見直しを求める医療技術に係わる提案書についてです。すなわち、提出したが非収載となった理由の検証と今後の対応を考えることが目的でした。
 ひとつめのワークショップでプロダクトされた新病名は99の多きにのぼりました。私たちはこれらを領域別に分類し、社会の必要性に合せ、保険導入を考えて、最重要新病名5つと準重要新病名6つを選び出しました。なぜ新病名を創出するのかと思われる方もあるでしょう。結論を先に言うと、これまで病気と認められなかった症状も保険治療の対象になり、病気の早期発見や重症化の予防が期待されるからです。しかし新病名案を、診療対象の保険病名とするには、多面的な検討を行う必要があります。
 そもそも病名には○○病、○○疾患、○○炎、○○症候群、○○症、○○障害などいろいろな呼び名が存在しています。それについての症状、病態、病状などの言葉も存在します。受診した患者さんの自覚的、他覚的症状を診察で得ていても、検査結果が出ておらず、確定診断ができない段階では「○○▲▲の疑い」という仮の病名も存在しています。まずはこれらを整理して、新病名案としてもう一度見直す必要があります。これについては、学会の用語委員会に諮問する予定です。
 また最近ではみなさんよくご存知の「メタボ」、「ロコモ」は、病名ではありません(日本語表記ではそれぞれ「代謝症候群」、「運動器症候群」)。通称です。この通称が社会的に注目されると、自己診断で思い当たる症状がある場合、受診を勧めることが可能になります。通称には、病気の早期発見や予防的効果が期待されるのです。今回選択した新病名も、このような覚えやすい通称などによる社会へのアプローチが大切で、受診意欲を高める社会的気運を盛り上げる取組が必要です。病気の早期発見や予防は、国民にとってはリスク軽減、国にとっては医療費削減につながります。歯科は生活の医療といわれるところからも、「予防的効果のある病名と通称」は、日常の何気ない健康意識を変え、病気を重症化しないという役割を担うことができるのです。
 
 

2014年8月11日

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