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日本歯科医学会について/ご挨拶

学会長ご挨拶 6・7月号

住友 雅人:写真画像

「歯科がささえる口文化(くちぶんか)」

 日を追うごとに温度・湿度が上昇し、関東地方の梅雨入りも間近かと思わせます。
 今月号は、脳神経領域にある目、耳、鼻、口などがになう機能と文化の関係について考えてみます。目(視覚)、耳(聴覚)、鼻(嗅覚)、口(味覚)には、それぞれの機能によって取り入れられる文化があります。絵画、音楽、香料、食事など、人間の豊かな生活に欠かせない文化です。一方、それらから出てくる文化はどうでしょう。口はその機能によって、語る、唄うなど、多くの文化を発信します。「目は口ほどにものを言い」というケースもままありますが・・・。もちろん、文化は相互の理解があってはじめて成り立つので、受け手の視覚、聴覚、嗅覚、味覚そして触覚が必要不可欠です。頻繁な文化のやり取りによって、さらに器官機能が増進あるいは維持され、脳の活性化に繋がっていくというわけです。
 さて、われわれ歯科領域では、食べ物を口に入れ、飲み込みやすくして、うまく消化器官に送る機能への対応が中心でした。これからは、口から出る文化の分野にも注目する必要があると考えています。例えば家族団欒、いまはごく普通の家庭の風景とは言いがたい社会になっていますが、それは家族で夕食を楽しみながら一日の出来事を話すなど、大切なコミュニケーションの場でした。食べる・話すなど、口腔機能を生かした生活文化そのものです。西日本新聞社の佐藤弘氏も、連載「食卓の向こう側」で「口は命の入り口、心の出口」という素晴らしい意見を提供しておられます。この生活分野に、歯科は大いに貢献できるはずです。
 病名に関していえば、これまで歯科では、う蝕や歯周病に関するものが中心でした。今日ではそれに起因・関連する全身的な疾患の存在が証明されてきています。医科の領域ではとりわけ高齢者の運動器機能や感覚器機能の低下、障害に伴う疾患に対する新しい病名が出て、診療の対象になってきました。通称で一般的に知られるメタボ(代謝症候群)、ロコモ(運動器症候群)、サルコ(筋肉減少症)などです。歯科においても,フレイルといわれる高齢期の生理的予備能の低下、加齢に伴う筋肉の減少、運動器の障害があります。咀嚼機能や摂食・嚥下機能の低下、発音障害については、具体的な症状があるにもかかわらず、そのものを表わす病名が無いということで、歯科診療の対象にならないこともありました。
 このような現状を見据えて、6月上旬に日本歯科医学会と日本歯科医師会のメンバーで、「歯科における新病名」のワークショップを開催することになりました。適切な情報と治療を国民に提供するための知恵を絞ろうという試みです。「口角泡を飛ばした」その成果については、次号で紹介したいと思っています。
 
 

2014年6月3日

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